- 鳥居の補強工事
- 昭和6年 十勝北部に建立された歴史ある神社の大鳥居。長きに渡り風雪にさらされ、凍害によるスケーリングが全体に及んでいました。
この大鳥居の断面修復工と炭素繊維シート補強工の施工を実施しました。
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着工前
補修に先立ち足場を組立て、発生ガラや材料の飛散防止のためシートで養生します。
劣化の状況
凍害によって表面が激しくスケーリングしています。凍害は表層から劣化が進行するため、表面はとても脆くなっています。手で擦るだけで骨材がパラパラと落ちるほどの状態で、凍害劣化の評価としては進展期(後期)~加速期と言える段階でしょう。
断面修復状況
脆い層を残したまま表面を補修しても十分な効果が得られないため、脆弱部をできるだけ撤去していきます。はつり後は入念に清掃してプライマーを塗布してから、ポリマーセメントモルタルによる断面修復を施工します。大鳥居全体を円柱状かつ通りよく仕上げていくのは職人の腕の見せ所です。
炭素繊維シートによる構造物補強
専用の樹脂プライマーを塗布して下地処理を行い、エポキシ樹脂を含浸させながら炭素繊維シートを貼り付けていきます。
炭素繊維は航空機やロケットなどでも利用され、建築・土木の分野でも補強に用いられる軽く強靭な素材です。炭素繊維シートを張り付けることで、せん断耐力や曲げ耐力が向上し地震などへの耐力が向上します。
補強完了
エポキシ樹脂材の硬化後にトップコート材を塗布して、断面修復工と炭素繊維シート補強工の施工完了となります。
足場を撤去した後、ご奉納され現在に至っています。